現車のフレーム
チタン製の自転車・ロードバイクフレームのクラックや破損箇所について、TIG溶接による修理を行っています。
チタンやクロモリなどの自転車フレームは、材質やパイプの肉厚、クラックの位置や状態、溶接による熱影響や変形などを確認したうえで、溶接修理が可能かを判断する必要があります。特にチタンは、溶接時に高温となる部分を大気中の酸素や窒素から保護する必要があり、溶接箇所によっては裏側へのバックシールドも重要になります。
今回は、お客様からチタン製自転車フレームの溶接修理についてご相談をいただきました。最初に破損箇所の写真を送っていただき、修理可能と判断しましたが、クラックがシートチューブ、ダウンチューブ、ボトムブラケット周辺の複数のパーツが集まる部分に発生していたため、現物をお預かりして状態を確認したうえで修理を行うことになりました。
弊社では、チタンをはじめクロモリ、ステンレスなどのTIG溶接を行っており、自転車・ロードバイクフレームについても、破損状態や材質を確認したうえで溶接修理の可否を判断しています。フレームのクラックや破損でお困りの場合は、まず破損箇所の写真、フレームの材質、メーカー・車種などをお知らせください。
修理箇所です
赤いマジックで囲んだ部分が、今回のチタンフレームの溶接修理箇所です。写真では分かりにくいですが、約25mmのクラックが確認できました。
今回の修理箇所は複数のパーツが集まる部分で、チタンのTIG溶接に必要なバックシールドも3系統に分けて行う必要がありました。
2箇所については弊社の汎用バックシールド治具を使用してシールドガスを供給できましたが、残る1箇所にはバックシールド用のガスを供給できる大きな開口部がありませんでした。
そこで、フレームに設けられていたM4ねじ穴を利用し、そこからアルゴンガスを供給する専用ツールを製作しました。これにより、通常の治具ではシールドが難しい部分にもバックシールドガスを供給できるようにしています。
下の写真が、今回のチタンフレーム溶接修理で実際に使用したバックシールド用ツールです。
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HIPURGE 3Module
チタンのTIG溶接では、溶接部の酸化を防ぐため、溶接箇所の表側だけでなく裏側にもアルゴンガスを供給するバックシールドが重要です。弊社では通常、HIPURGE(ハイパージ) 3Moduleを使用してバックシールドガスを供給しています。
今回のチタンフレームは3つのパーツが集まる複雑な構造のため、バックシールドガスを3系統に分けて供給する必要がありました。 -
HIPURGE 2ModuleとHIPURGE-E
そこで、HIPURGE 3ModuleにHIPURGE 2ModuleとHIPURGE-E(エントリー)を組み合わせ、3系統それぞれにバックシールドガスを供給できるようにしました。これにより、今回のように複数のパイプが集まる複雑な形状でも、それぞれの内部に必要なシールドガスを供給することができます。
パイプ用汎用バックシールド治具
パイプ内部にシールドガスを供給するための弊社製バックシールド治具です。パイプ径に合わせてディスクを交換することで、さまざまなサイズに対応できます。
今回のチタンフレーム修理では、この治具を使用してフレーム内部にアルゴンガスを供給し、溶接部の裏側が酸化しないようバックシールドを行いました。複数のパイプが交差する部分でも、それぞれの内部に適切にシールドガスを供給することが重要です。また、パイプ内部の空気を必要以上に攪拌せずシールドガスに置換できるため、溶接部周辺の酸素濃度を低く保った状態で溶接することができます。
配管及び治具の装着
シートチューブとボトムブラケットハンガーには、弊社製のパイプ用汎用バックシールド治具を装着しました。一方、ダウンチューブ側には治具を挿入できる開口部がなかったため、フレームに設けられていたM4のビス穴を利用しました。
このM4ビス穴からφ3mmのチューブを溶接箇所付近まで挿入し、アルゴンガスを供給することで、ダウンチューブ内部のバックシールドを行いました。
これら3系統をHIPURGE 3Module、HIPURGE 2Module、HIPURGE-Eを組み合わせたシステムに接続し、それぞれのガス流量を個別に調整しました。これにより、3つのパーツが集まる複雑な溶接箇所でも、必要な部分へ確実にバックシールドガスを供給できる状態を作り、溶接作業を行いました。
完了写真
今回のチタンフレームは、3つのパーツが集まる部分に発生したクラックのため、3系統のバックシールドを行いながらTIG溶接で修理しました。チタンは溶接時のシールド管理が重要な材料ですが、フレームの構造に合わせて治具やガス供給方法を工夫することで、このような複雑な箇所にも対応しています。
弊社では、チタンをはじめクロモリ、ステンレスなど、一般的な自転車店では対応が難しいロードバイク・自転車フレームの溶接修理についてご相談を承っています。クラックや破損の状態、材質、修理箇所によって施工方法が異なりますので、まずは修理箇所が分かる写真を添えてお問い合わせください。
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